2006年08月

2006年08月31日13:09『猫は七面鳥とおしゃべりする』
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80d9b025.jpgおなじみシャム猫ココ・シリーズも本作でなんと26作目。一年に一作書いたとしても26年間、なんとも息の長いシリーズになったものです。

で、ここまで来ると、もう「出たらとりあえず買う」というのが習慣化してしまうので、いちいち、レビューするまでのこともないのかも。買い続けている人は何も言わなくても買うだろうし、シリーズを未読の人は、26作目から買ったりはしないでしょうね、きっと。
でもたまには、「たまたま本屋さんで見つけてしまって」と26作目の本著から買ってしまった人もいるかも知れないので(^^;、戸惑っている方のためにレビューをあげておきます。

えっと。
すでにこのシリーズは、「ミステリー」とは呼べないかも知れません。いちおう、殺人は起こるんですが、探偵がいるわけではなく、本作に限って言えば、誰も殺人そのものを「気にしていない」です(笑)
コージーもここまで来れば怖いものはない、というか、ひとりふたり、作中で誰か死んだくらいでは登場人物たちも平然としたもの(笑)
シリーズの主体、というか、愛読者が期待しているのは、ココとヤムヤムの面白い仕草や変わったエピソードなどであり、また、ムース郡、という、アメリカの北のはずれのド田舎に住む愉快な人々の交流、楽しい会話、それに、登場人物たちが食べる食事の描写、がすべてです。いちおう事件が起こるのは、ま、刺し身のツマというか(^^;、おまけですね。
まさにコージー、されど、コージー。コージーを愛して、その読み方も心得ている人にとっては、こういう世界もまた、たまらなく楽しいもの。でも、ミステリーがすごく好き、という人がたまたま本作から読み始めても、ココ・シリーズを読破しよう、とはたぶん、思わないでしょう……
本シリーズの熱狂的なファンからは叱られてしまうかも知れませんが、このシリーズはすでに、サザエさんの域に達したシリーズなのだと思います。ページをめくればおなじみの顔、会話、猫と、おいしそうな料理。
正直なところ、作者もご高齢とのことで、新作が出るたびに「お元気で何より」と思いつつ買う、そういうものだと割り切った方が、長く愛好できると思います。わたしはたぶん、もう翻訳されることはありません、という時まで、新作を買い続けるでしょう。

いちおう、あらすじを書けば、今回はココが野生の七面鳥と通じるという奇妙な行動をとります。また、「スナーク狩り」がキーワードになっているのは、ミステリ・マニアにはちょっと嬉しいかも。

もし、ココ・シリーズを未読で、猫が大好きなので読んでみたいんだけど、という方は、ぜひ、シリーズ第一作から第四作までをまずお読みください。主人公クィラランと、ココとの出逢いがわかるだけではなく、実はこのシリーズ全体の中で、最初の四作はかなり「異質」なんです。主人公がまだシカゴの新聞記者であった時代の物語で、かなりミステリー度が高く、少しハードボイルドなタッチでもあり、スピード感もあって、ミステリー好きにも充分満足できる質の高い作品になっています。
その後、主人公は莫大な遺産を相続してムース郡に引っ込んで引退者生活に入ってしまうため、シリーズの雰囲気はがらっと変わります。ただ日本に翻訳された時、発表された順番と翻訳された順番とが少しずれてしまったため、日本での発表順(刊行順)に読むと、少し前後関係がわかりにくくなります。わたしとしては、まずシカゴ時代の作品を読み終えて、それから、作中の時系列順に、クィラランが遺産を相続するに至った経緯が判る巻(すみません、どの巻だったか題名をおぼえていないんですが、それぞれの巻末の解説をさっと読むとわかるので、お買い求めの際には巻末をちらっと読んでみてね)を読んでから、あとは、どの巻でも適当に手にとって大丈夫だと思います。多少、人間関係が時系列にそって変化しているので、順番が違えばのみこみにくい部分も出て来ますが、引退生活に入ってからのシリーズは、そんなに深刻に筋を追わなくても、楽しく読めばそれでOK、です(^^)

わたしがいちばん好きなのは、クィラランと猫たちが「好きではない」旅行をすることになる『猫は山をも動かす』かなー。おなじみのメンバーはあまり出て来ないんですけどね。

いずれにしても、使い切れないほど遺産を相続して、猫と気楽な引退生活。まさに夢の世界ですねー。ああ、宝くじ〜

『猫は七面鳥とおしゃべりする』
THE CAT WHO TALKED TURKEY
リリアン・ジャクソン・ブラウン
羽田詩津子 訳
ハヤカワ文庫
ISBN4-15-077228-2
560円+税

2006年08月28日15:16『ジュリエットの悲鳴』
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a6e16c5f.jpg人気作家でしかも比較的多作となると、あまのじゃくな読書をするわたしの場合、読み逃しがけっこう多くなります。有栖川有栖さんの作品は好きなので、ほぼ網羅しているつもりでいますが、書店で「あらら」ということもたまに。これもそんな一冊。でも収録されている作品は、大部分、雑誌掲載時に読んでいました。
いやー、久しぶりに再会できて感激の「登竜門が多すぎる」。これを初読した時は、笑った笑った。
今度も笑いました。夜中に寝室で読んでいたので、隣で寝ている夫を起こさないように、声を出さずに笑ったら苦しいのなんの(笑)
この手の作品は、東野圭吾さんがお得意ですが、有栖川さんの作品にもけっこう、このタイプの皮肉の効いたお笑い小説、ってありますよね。
とまれ、この作品集自体は、お笑い作品集ではないので、誤解なきよう。
非シリーズ、つまり、シリーズキャラクターが登場しない、一回っきりの短編を集めた短編集です。本格謎解きとは少し違った、サスペンス的なもの、心理描写に重きをおいたもの、技巧で読ませるものなどなどと、ズバッと切れ味のいい本格推理ショートショートを集めてあります。
国名シリーズや、人気キャラクターのシリーズしか有栖川有栖作品を体験していない人は、ぜひ、有栖川さんの幅の広い才能に触れてみてね。逆に、有栖川作品をこれで初めて知る、というのも面白いかも知れません。エラリー・クィーンばりの本格物にはいまいち興味がなくて、でもミステリーは割と読むよ、という人にも、とてもいい作品集じゃないかな。

個人的には「パテオ」の切なさに、身震いしました。

●収録作品●
「落とし穴」・「裏切る眼」・「遠い出張」(ショートショート)・「危険な席」・「パテオ」・「多々良探偵の失策」(ショートショト)・「登竜門が多すぎる」・「世紀のアリバイ」(ショートショート)・「タイタンの殺人」・「幸運の女神」(ショートショート)・「夜汽車は走る」・「ジュリエットの悲鳴」

『ジュリエットの悲鳴』
有栖川有栖
角川文庫
ISBN4-04-191305-5
533円+税

2006年08月26日17:15新刊出ています
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78a33109.jpgひさびさのカードカバーです。
厚くて高くてすみません。

帯にはサスペンス、と出ていますが、あえてジャンル分けするならサスペンスかなー、という感じで、アルレーとか新津きよみさんなどの心理サスペンスや、ホラー系サスペンスとはだいぶ趣が違うかな。
あえて言うなら、女小説、でしょうか(^^;;;;

かなり性格に問題のある二人の女性作家の、心理的絡みあいというか、いびつな愛情というか、そういったものがドロドロと描いてあります。うーん、好みがわかれる作品かも。ドロドロの女臭い小説なんか嫌い、という方、ごめんなさい。
何が描きたかったのか、とか、あの描写の意味はこれこれで、などと自作を解説してしまうのはよくないと思うので、まずは読んでいただきたいのですが、きっと、読後、ひとりひとり感想が違うのではないかと思います。どの部分に読み手の感情を移入させるか、何に共鳴するかで、作品全体の印象もがらっと変わる、そういう作品かも知れません。
できれば、何度か読み返していただくと、そのたびにきっと、新たな発見をしていただけるのではないかと思います。一読すると矛盾しているように思える発言や行動にも、すべて、関連性や背景があるように描いてあります。

夏終わりに、たまには「じっくり、物語と格闘してみようか」と思われた方、本屋さんでお手にとってみてくださいね。
装幀は素晴らしいです。「聖なる黒夜」と同じデザイナーさんにお願いしてあります。

『銀の砂』
光文社
ISBN4-334-92513-8
1700円+税

2006年08月25日08:44旅から戻りました
PermalinkTrackBack(0)この記事をクリップ! しばたの日常  | 息子に持たせるお弁当
51eb9a8c.jpg旅行から戻った翌日にいきなりお弁当。朝、起きるのがつらかったー。
登校日&クラブ活動だそうな。

無理はせず、簡単なおかずで埋めました。
メインは牛肉の醤油焼き。切り落としの和牛を安く売ってたので、塩・コショウしてグレープシーズオイルで焼いて、取り出し、肉汁の残ったフライパンに日本酒を注ぎ、アルコールをとばしてから昆布醤油を入れて少し煮詰め、そのタレに焼いた牛肉を戻してできあがり。ご飯がすすむおかずです。

真ん中のものは、仙台土産のささかまぼこ、なんと牛タン入り。仙台は、予想以上に牛タンだらけの町でした(笑) 実はわたし、牛タンが苦手で食べないんですが、息子は大好物。この、牛タン入りささかまぼこは、福澤商店、という老舗で買いました。ビールのおつまみによさそうな味です。お弁当なので、あぶってから切ってあります。
もう一品は、マイタケと缶詰のコーンのバター風味炒め。グレープシーズオイルで炒めて塩・コショウしてから、バターをひとかけら入れて風味づけ。
サラダは別容器。ブロッコリーとプチトマト。フレンチドレッシングをかけました。旅行で息子も疲れただろうし、疲労回復にはトマトのリコピンが効くそうな。

ご飯は四穀米と、自家製小梅漬け。
デザートは、やっとお安くなって来た、デラウエアです。
成長期の息子、とにかく水をたくさん飲みます。うちは、アクアクララで水を配達して貰ってますが、消費量が倍近くになって業者の人もびっくり。あまり水を飲むと、塩分やミネラルが不足してしまうので、お弁当もちょっと塩味濃いめにしてあります。

実は、わたし、旅行中に体調を崩してしまいました。旅行前にずーっと睡眠不足で無理したせいみたい。まだかなり疲労がたまってます。それでも、仙台旅行は楽しかったです(^^)
またデジカメのデータを整理したら、旅行記も少しずつupしますね。ってまだ、三月の京都旅行のも全部upしてなかったけど(^^;;;;;

2006年08月24日13:15松島にいます
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4b120641.jpgきれいです。

これから帰路。早く猫に会いたい〜


2006年08月22日11:02蔵王チーズ
PermalinkTrackBack(0)この記事をクリップ! 今日は観光しとります。  | しばたは旅の途中
9df0f9a6.JPG写っている人は、わたしとは無関係です。すみません(^^;
「ぎゃっ、これはわたしだーっ、載せないでー」という方がいらっしゃいましたら、メールくださいまし。

昨夜は、のんびり温泉につかり、バイキング形式の夕食のあと、お部屋でゆったりとDSやって(笑)、のんびりしました。
今朝は早く目がさめてしまい、昨夜とは違うお風呂へ。かけ流しの温泉です。他のお客さんがまだ来てなくて、貸し切りで極楽でした。

チェックアウトは11時。少し前にホテルを出て、まずは、ホテルのすぐ近くにある、蔵王チーズの展示販売所へ。
チーズ大好きなので、国産チーズを売ってるところと聞くと、つい寄ってしまいます。

この販売所では、クリームチーズに力を入れているようで、味見を楽しめました。
オニオン味のと、プレーンの、それに、パパが好きなチェダーを買って、自宅に宅配してもらいました。




2006年08月21日17:20蔵王は小雨にけむっています
PermalinkTrackBack(0)この記事をクリップ! しばたは旅の途中  | 今日は観光しとります。
c87ce981.JPG今日から仙台旅行です。

朝八時に出発、コンビニでサンドイッチ買って車中で朝ご飯。
でもそのまま旅に出たのではなく、まずは東京のマンションに寄って、郵便物を回収しました。これやっておかないと、宅配ボックスがあふれてしまうんです。

九時半頃、やっと本当に出発。首都高速からそのまま、東北自動車道に。
お盆休みは終わったのに、驚くくらい車が多くて、それも乗用車がいっぱい。夏休みをずらしてとる人って思いのほか、多いんですね。
蓮田のSAで給油。埼玉を出るあたりからだいぶ車も減りました。
那須高原を抜ける時、窓を開けたら、すごく爽やかな高原の風に感激。那須っていいところですねー。
今度、ゆっくり避暑に来たいな。

東北自動車道は、群馬県内までしか走ったことがなかったので、福島より北は初体験でした。福島にも行ってみたい。ああ、行きたいところがたくさん。
蔵王が近づいたところで、十二時を過ぎたので、PAで昼食休憩。ちょうど、甲子園で決勝の再試合が開始されたところで、お客さんはテレビに釘付け。どっちが勝つかなー。早実に一票。

東北自動車道を降りたところで午後一時半過ぎ、仙台市内には二時過ぎに入りました。けっこう順調でした。
今日は、着くのが目的だったので、ホテルのある蔵王高原に向かってもよかったんですが、息子が仙台のヨドバシカメラに寄りたいと言うので(笑)、駅前のヨドバシカメラに。なんとなくいきおいで、小さくなったプレステ2を買ってしまいました(^^;;;;; なんで仙台まで来て……でもいいんだ、だって「かまいたちの夜3」を、息子に遠慮せずにやりたかったんだもーん。
息子はゲームソフト、パパはパソコン用バッグ、と、それぞれに「お宝」をゲットして、るんるんと、いざ蔵王へ。
仙台から蔵王まではかなりかかります。
ホテルに着いたのは、夕方の五時過ぎでした。

この写真は、ホテルの窓から見た蔵王連山。小雨で霧が出ています。肌寒い。
ケータイで撮ったので、あまりきれいじゃないけど。
今夜はゆっくり温泉。明日は、蔵王をドライヴの予定です。

(旅行後、2006.11.5にup)

2006年08月19日15:43『No.1レディーズ探偵社、引っ越しす』
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ac5305e3.jpg(あ、写真が曲がった(^^;;;;)

奥付は8/20なので、まだ店頭に並んでいないかな?
アフリカはボツワナで私立探偵業を営む愛すべき肝っ玉女性・ミス・ラモツエのシリーズ第三弾。

このシリーズはこちらの日記でもすでにご紹介済みですね。わたしの大のお気に入りシリーズ。ほんとにすてきな物語なんですよ。ミス・ラモツエは、わたしの中で、最高の女探偵です。
今回は、日記を読んだ担当者からお声をかけていただき、解説も書かせていただきました。

で、わたしの言いたいことはみんな解説に書いてしまったので、どうか皆様、まずは店頭で手にされて、後ろの方をめくってみてください。ネタバレはできるだけしないように我慢しましたので、先に解説を読んでしまっても大丈夫です(^^)
今回も、いろんな意味で、本当にすてきな物語になっています。

もちろんコージー好きな読者には今年いちばんのおおすめ。でもそうでない皆さんにも、「時には、心がぽっとあったまるような、気持ちのいい読書がしたいな」と思われたら、最適だと思います。

でも決して、軽いだけ、楽しいだけの物語ではありません。
なにげない描写やエピソードのひとつひとつに、アフリカが、世界が、そして今という時代が、あるいは人間という存在そのものが抱えている、「大いなる苦しみ」が丹念に織り込まれています。
声高に何かを主張する物語ではないのに、読後にどうしても考えることをやめられなくなる、そんな、「厳しさ」も合わせ持った探偵物語。

まだミス・ラモツエを知らない方は、この機会にぜひ、第一作、第二作と新作の三冊、合わせて買って読んでください。三冊合計したって、CD一枚分のお値段。お気に入りのCD一枚と同じくらい、豊かな時間を過ごせること、請け合いです。

『No.1レディーズ探偵社、引っ越しす』
アレグザンダー・マコール・スミス
小林浩子 訳
ヴィレッジブックス(ソニー・マガジンズ)
ISBN4-7897-2924-9

2006年08月19日14:17『フェニモア先生、人形を診る』
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4945d93c.jpg巷で好評のフェニモア先生シリーズ。毎度毎度かけ声ばかり「コージーを読むぞっ」とここに書きつつも、結局今年は、資料読みに読書時間の大部分をとられ、お楽しみ読書は昨年の半分以下になりそうで、コージーのシリーズも手付かずの未読山が高くなるばかり。でも、書店で平台を見る限りでは、どうやら翻訳ものミステリーには、コージー・ブームが来ているみたいですね。これは嬉しいことです(^^)

でも、このフェニモア先生シリーズは、作者自身が「コージーと呼ばないで」と拒否しているようで、アメリカでも「コージー・ミステリ」というのは、ある種の侮蔑を含む呼び名になってしまっているのかしら、と、ちょっと残念。コージー=心地よい、と意味通りに考えたら、「読み心地のいいミステリ」ってすてきなのにね。やはり、小説の重い軽いを「質」の問題にすりかえる風潮は、日本だけのものではないのでしょうね。軽くて楽しいお話は「楽して書ける」という誤解。悲しいことに、この誤解をしているのが読者や書評家だけではなく、作家にも多いわけですから、仕方ないのかなあ。

それはともかくとして、作者が嫌がっているのでしたら無理にコージーと呼ぶ必要はないわけですが、実際、今回はじめてこのシリーズを読んでみて、コージーというよりは、ミス・マープルの世界に似ている、という印象を受けました。連続殺人自体の陰湿さや、それをとりまく「被害者側の人間関係」が冷たく印象が希薄で、感情移入できないところなど、コージーではない、というのが理解できます。もっと古めかしい本格推理小説の「旧家もの」に近い。もっともこの作品はシリーズ二作目で、たまたま舞台となった家族が金持ちの旧家で場所も季節はずれの避暑地、という設定だったので、そうした印象が強くなったのかも知れませんが。でも、まれに出て来る現代的な服装や医療器具の話、フェラデルフェアの下町のおそろしさなどをのぞけば、時代が1920年代です、と言われても違和感がないような、そんな作品です。わたしの好みからすれば、もう少し、登場人物が現代的な方が、旧家の殺人、という使い古されたテーマが逆に引き立って生きたんじゃないかな、という気も。

「読者への挑戦」みたいなものが終わりの方に出て来ますが、これはあくまで、新本格のない国(笑)のミステリにおける読者への挑戦、だと割り切ってね(^^;;;;; いくら挑戦されても、実はこの作品、純粋に論理だけで犯人を名指しすることは不可能です。というか、犯人探しに必要な手がかりはほとんど書かれておらず、ただあてずっぽうに「動機」を想像するしかありません。どんでん返しはありますが……
ということで、本格推理の旧家ものみたいな雰囲気はあるけれど、本格推理作品とは呼べないなあ。その意味では、ばりばりの本格好きにはおすすめではないかも。やっぱり、作者には怒られてしまいそうですが(^^;、この作品をいちばん面白く読めるのは「コージー好き」な読者でしょう(^^)
レギュラーなキャラクターはみんな魅力的で、何作かシリーズを読むといつのまにかハマっていそう、そんなシリーズだと思います。

『フェニモア先生、人形を診る』
ロビン・ハサウェイ
坂口玲子訳
ハヤカワ文庫
ISBN4-15-172552-0
740円+税

2006年08月18日06:09『エンドウと平和』
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9f34d83d.jpg主婦探偵ジェーンとシェリイのシリーズ、第八弾。
日本でもこのシリーズは人気シリーズでしたが、なぜか、この作品を最後に、翻訳が出ていないみたいですね。本国アメリカでは毎年一冊の割合で新作が出ているみたい。うーん、いろいろ事情はあるのでしょうが、ぜひ、第九弾も刊行してくださーい>東京創元社様

とは言え、当初の、まさにドメスティックなアメリカの子持ち主婦のドタバタぶりが、言いようもなく楽しかったのと比較すると、シリーズが進むごとに子供たちも成長し、新鮮味が薄れて来ているのも致し方ないところ。今回も作品の舞台はジェーンとシェリイの日常ではなく、私設博物館の内紛になっています。その意味では、このシリーズに期待しているものとは少し違った展開かな。どちらかと言えば、狭い人間関係の中での犯人探し、という意味で、「旧家もの」に近いパターン。謎解きも、どちらかと言えば論理より情緒、「え、この人が?」と思いはするものの、謎が解けた爽快感には物足りない……?

ま、しかしながら、このシリーズが大好きな読者が「求めるもの」はそんなものではないんですよね。
未亡人で三人の子持ち、警官と恋愛中、という、アメリカン・コージーの「定番」(ほんと、アメリカのコージーでは未亡人や離婚経験者が警官や刑事と恋愛、というパターンが今や王道になりつつあるようで……)を踏まえつつ、等身大ヒロインが料理や掃除の合間に探偵しちゃう、そのシチュエーションこそが読みどころ。
シリーズ未読な方は、第一作目をまず読んでからその他を(第一作さえ読んでしまえば、あとはどれから読んでもさほど違和感はありません)どうぞ。

しかし毎回毎回、邦題をつけるのに苦労するだろうなあ……
浅羽さんはやっぱりすごい。

『エンドウと平和』
ジル・チャーチル
浅羽莢子 訳
創元推理文庫
ISBN4-488-27508-7
660円+税